Dobot Magicianを使ったワークショップインタビュー/岩手大学 三好先生

8/4(水)、5(木)に、岩手大学理工学部にて令和3年度アカデミックインターンシップが開催され、岩手大学や理工系学部・学科に進学を希望している高校生が多数参加されました。三好研究室ではDobotMagicianを使ったロボットプログラミングのワークショップが開催され、ビジュアルプログラミングツールを使ったロボット制御の体験ができるというハンズオン形式の内容でした。GRIPSでは、今回のワークショップ開催に際して、DobotMagicianの貸し出しという形でサポートさせていただきました。それまでも、ロボットプログラミングや小型ロボットの産業応用については三好先生にはご助言をいただくなど大変お世話になっており、今回は日ごろの感謝もかねてご支援させていただきました。当日のワークショップ終了後に、参加された高校生に感想を聞かせていただく機会をいただきましたので、今後ロボットプログラミングをご予定されていらっしゃる学校の先生方、教育機関の皆様のご参考になれば幸いです。

 

(GRIPS)Dobot Magicianを使ってみて、どんな印象をもちましたか?

(生徒Aさん)これまでプログラミングでハードウエアを動かしたことはなかったので、面白かった。始めは思うように動作させることができなかったけれど、何度も試しながらプログラムを組み替えていくことで思っていた動きをロボットにさせることができた。

 

(GRIPS)プログラミングは難しかったですか?

(生徒さんB)今回初めてプログラミングというものを体験した。初めは戸惑ったが、Blocklyというビジュアルプログラミングツールは初心者でもすぐに慣れることができて、ロボットの制御プログラムを作ることができた。基礎知識がなくても使いやすかったと思う。

 

(GRIPS)ロボットが動作するアルゴリズムも簡単に組むことができましたか?

(生徒さんA)はい。ただ、アームを動作させる座標の値を計算するところが難しかったです。3次元の座標空間で三角関数を使うのに初めは戸惑いました。数学の授業では学んでいましたが実際に公式を活用するところは慣れるまで難しかったです。

 

(GRIPS)数学の授業では、なかなか立体空間を想像しながら演習する機会は少ないですよね。今回のワークショップでの経験が三角関数の理解の助けになるといいですね。

(GRIPS)今回体験したプログラミングの知識は将来役に立ちそうですか?

(生徒さんC)具体的にはまだわかりませんが、ソフトウェアが様々な機械やシステムの制御に役立っていることは想像することができました。ワークショップに参加してこの分野の技術に興味がわいてきました。

 

(GRIPS)特に三好先生の研究室は、ロボット自体の制作というよりも、ロボットをどのように実社会へ応用すればいいのかという、より現場に近い実践的な研究テーマに取り組まれていらっしゃいます。興味を持つきっかけの一助となったようで大変うれしく思います。

(生徒さんD)東日本大震災や、原発事故などでの日本のロボットの活躍が期待よりも少なかったように見えるが、それはなぜでしょうか?日本のロボット技術が海外と比べて競争力がないからなのでしょうか?

(GRIPS)非常に興味深いご質問ですね。私自身の印象としては、日本のロボット関連技術はすでにかなり高度な技術を有していると思っています。ただしその技術を組み合わせて、目の前の課題を解決するシステム構築力に若干の弱みがあるのかもしれません。システム構築力の中で重要な要素として、ソフトウェアのアーキテクチャを考えるという部分があると思います。単純なプログラミングスキルというのではなく、課題解決に適したソフト/ハードのシステムを設計できることがますます重要になってくると思います。その点でも三好研究室は重要なテーマに取り組んでいらっしゃると思います。

(生徒さんD)介護や福祉分野でのロボットの応用も進んでいますね。この分野でもロボットやソフトの応用が期待できますね。

(GRIPS)そうですね。人間―>ロボット、ロボットー>人間という一方向ではなく、双方向のインタフェースがロボット分野でも大切なテーマとなってくると感じています。弊社でも少しづつではありますが、研究プロジェクトを始めようとしています。本日は、実際のワークショップの感想や貴重なご意見などお聞かせいただいてありがとうございました。

 

(GRIPS)最後に三好先生に伺います。今回のワークショップは全体を通していかがでしたか?参加された生徒さんの感想は非常に良かったと思います。経験のない生徒さんに動機づけをするポイントなどがありましたら、教えていただけると嬉しいです。また、DobotMagicianを使った教材開発などへのアドバイスをいただけましたらありがたく存じます。

(三好先生)

今回は2日間開催、全部で9名の生徒を受け持ちました。これまでにもDobotMagicianによる実習を開催していますが、これまでは社会人を対象としており高校生を対象とするのは初めてでした。また参加生徒の学年も1年生から3年生までいたので、なるべく数学的なことは避け、「ロボットに作業をさせる(制御する)」ことを意識し、自分たちの考えた方法をロボットに実行させるにはどうすればよいか?と考えてもらうことを心がけました。また、2台で協調するにはどうするか?などに踏み込めるとよかったのかもしれません。

DobotMagicianを使った教材開発は、対象者別に組むのがよいと考えています。~高校生まではBlocklyを主体としたカリキュラムで14時間程度、大学生以上はPythonでのプログラム開発も含めて28時間程度がよいかなと思います。

 

(GRIPS)今後も、研究室紹介のワークショップやDobotMagicianの講座などのご予定はありますか?

(三好先生)

今後も研究室紹介、大学紹介の機会は多くありますので、その折にDobotMagicianを用いたデモンストレーションができるとよいと思っています。動画で見せることもできますが、やはりその場で直接見る・触るという経験は非常に重要だと思っています。今後も是非ご協力いただければ幸いです。

直近ですと、令和3年11月に放送大学の講義を担当するのですが、その場でもDobotMagicianを使った搬送デモンストレーションを実施する予定です。

 

(GRIPS)今回は、非常に貴重な機会をいただきましてありがとうございました。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

 

<岩手大学、三好研究室>

「難しいことは易しく 易しいことは深く 深いことは愉快に 愉快なことを楽しもう 故に 研究を楽しもう!」を研究室の方針として、何事にも積極的に全力で挑戦することを心掛け、手を動かしてから反省するという実践的な研究活動を進めていらっしゃいます。ロボティクスの産業応用分野は「岩手の医食重をロボットで解決」することを目指され、リハビリテーションシステム、食品加工用ロボットシステム、重作業支援・極限環境ロボティクスを中心に、さまざまなフィールドへの技術適用を研究されています。

公式ウェブサイト:http://www.mech.iwate-u.ac.jp/~miyoshi/index.php

 

<GRIPSの会社紹介>

「企業と地域社会が連携した分散型プラットフォームの構築やオープンソースを活用した技術提供や教育機会の確保を通じて、持続的な成長社会を実現する」という理念のもと、設立されました。

当社の得意とする小型ロボットアームやオープンソース技術を活用した廉価な自働化システムの提案や、企業間オープンイノベーションで培った知見を基に独自のi-STEM(industrial-STEM)教育教材の開発を行っています。

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